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福袋

12月26日。

暮れの風物、師匠宅大掃除。

強風で戸を開けるのも辛い中、無事終了。

これが終わると、ああ一年終わったなあとしみじみ思う。

そして片付いてない自宅を見て更にしみじみと悲嘆にくれる。

いいよもう…毎年そんなだから…。

今年は年賀状を早めに出せただけでも収穫と思う。

 

師匠は読書家でして。

自分が知ってる限り、師匠以上の本の虫を知らない。

だからたまに寄稿依頼来ると凄いこだわる。

いっそのこと本書けばいいのに。

出版社の皆様、如何でしょうか。

清書と細かい添削は私が引き受けますんで。

師匠の字の解読なら負けない自信あります。

 

震災の折、師匠宅の本棚もえらいこっちゃだったようで。

そりゃマンションの11階、揺れたでしょうな。

あれ以来蔵書をとにかく減らす事に執心の師匠。

「お前達にやるから読みな」と

きつつき兄や私に、今まで大事にしていた資料など

沢山の本を持たせてくれる。

師匠から弟子へ、知識の継承とでも言いましょうか。

「そっちにある本のリストを送ってくれ。

また要るかもしれないし」

うん、預けるって言うんだよね、それ。

私設図書室状態なのよね…。

 

「小圓朝ときつつきの所は子供がいるからな。

倒れてきたりしたら危ないから」

という悲惨な理由で最近はもっぱら私が預かり担当。

「あんた寝てる時に本がダーッて倒れてきて死ぬのよ!」

何故か高笑いのおかみさんの追い打ちもあって

今年も橘也図書館の蔵書が増えました。有難うございます。

一括は無理なんで複数回に分けて持ち帰る事に。

で、昨夜は第一弾。

紙袋に詰め、ビニール紐で結わえて肩で担ぐ。

「あんたそんなに大丈夫なの?」

と心配するおかみさんに

「大丈夫です、もてる男ですから」と豪語してみせた。

「荷物はね」

という冷徹な指摘を頂戴して帰路へ。

寒風吹きすさぶ冬の夜道を歩く。

吉祥寺駅から東急の前へ来た所で流石に切れた。

私じゃない。

堪忍袋の緒は健在だったけど

紐が切れた。袋が破けた。本が飛び散った。

不思議と寒さは感じない。

慌てふためいたりもしない。

ただただ冷静に、この状況を打破する方法を模索した。

切れた紐で何とか縛るという策を採用。

結び目を解けない。

手は正直だ。寒さで震えて動かない。

必死でビニール紐と格闘する。座り込む。

師走の街を足早に通り過ぎる人々。

見向きもしない。そりゃ師走ですもの。忙しいですよ。

砕け散った荷物を前に、

ひたすら紐いじってる馬鹿の相手する人なんか…。

 

「あの、大丈夫ですか?」

二人組のシルエット。

女性のようである。

顔をあげると、手には紙袋より丈夫そうな

ビニール製の大きな袋。

スーパーの袋とかじゃないよ。

「大丈夫ですか?」

再び問われ、自嘲気味に「駄目みたいです」

と答えると、そっと袋を手渡してくれた。

「これ使って下さい」

遠慮する余裕も無く頂戴した。

去って行く後姿を眺めつつ、深々とお辞儀。

頂いた袋に本を詰めたら、ちょうどぴったり入るサイズ。

あのお二方は神の化身だったんだろうか。

この暮れにきて、今年一番うれしかった事かもしれない。

この袋は、記念にずっととっておきます。

一足早い福袋、頂戴致しました。

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コメント

 いつもながら落語家にしておくには惜しい文章力ですね!!
 この二人組み女性が10歳ぐらい年上?でも何でも、この機会に食らい付いていく展開にならないと、いつまで経っても花水木さんから「クリボッチ」と言われ続けるでしょう。
 来年の新しい展開を期待しておりますす、ブログ楽しみにしているのでもう少したくさん更新してください。
  よいお年を!

投稿: 島の医者になって | 2012年12月28日 (金) 15時41分

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