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あの惨劇をまだ振り返る

6人部屋の窓際。

日差しが眩しいが、外界との繋がりを感じられる分だけ爽快だろう。

相部屋の皆様は、ご老人だった。

点滴を眺めながらぼんやりする。痛みは少しだけおさまっていた。

じっとするしかない。弟に必要な物の手配をお願いして、

あとはもう変温動物のごとくじっとしてるしかない。

食事が運ばれてきた。昼食だそうだ。

どんな時でも腹は減る。飯を目の前にしたらお腹が鳴った。

体が生命の維持に対して本気な証拠だろう。喜ばしい事だ。

食事は意外に美味しかった。意外と言っては

作って下さった方に失礼だが。イメージとは違った。

黙々と食べる。その時、歴史は動かないが

隣の住人の体の一部が動いた。

ブスルルルルピスピススウー。

文字にするとそんな感じ。放屁だった。

食事中だちきしょう!しかも何だその屁は!

元気な人間の屁は、その一発で国威発揚を促せるような

気合が入っている。芯が通っている。

さながら進軍ラッパのごとく。

原由子さんも歌ってた。「進軍ラッパがプープープププゥー」

サザン初期の名曲、流れる雲を追いかけて、より抜粋。

年取ると菊座も衰えるんだな。

関所がもうグズグズになるんだ。入鉄砲出女し放題になっちゃうんだ。

アナル事務総長が耄碌しちゃうんだきっと。

だからあんな屁になる。屁は元気のバロメータであります。

とにかく食事して、お薬飲んで、その日は安静にしてた。

夜になる。夕食もきちんと平らげる。今度は屁の形をした

スカラー波は来なかった。薬も飲んだ。

トイレは意地でも自分で行った。

自分の尊厳を守る最後の砦だと思ったから意地でも自力で行った。

寝ることにする。見回りの看護士さんが様子を伺いに来た。

「まだ痛い?大丈夫?座薬、する?」

座薬は恥ずかしいじゃん。俺のピーチ姫はお注射の時点で

もう辱められちゃったもん。汚されちゃったもん。

これ以上姫をいじめないで!

とは言わずに小声で「大丈夫です」と断った。

眠れない。痛い。姫に恥かいてもらえばよかった。後悔先に立たず。

深夜になる。再び見回りに来る看護士さん。

「座薬、する?」

一本いっとく?みたいな軽いノリ。僕は黙って首を縦に振った。

素早く準備する看護士さん。横向きに寝た状態で姫再びお披露目。

看護士さんは、まるでスリのような鮮やかで素早い動きで

姫のお口に座薬を放り込んだ。ティッシュをあてがわれる。

看護士さんはずらす時のほぼ倍速で姫を隠してくれた。

それが恥じらいならば、僕は嬉しい。

姫がお気に召さなかったのなら陳謝致します。

姫って言葉が自分の中で猛烈に面白くなってきたが

恐らくこれを読んでる方にはもううんざりだろうと思う。

しかもまだ初日じゃん。あと5日分あるのにどうしよう。振り返りきれない。

でも後は寝て起きて飯食って薬飲んで

たまに相部屋の住人の屁を聞くだけだから別にいいか。

そんな入院生活でしたっと。ふぅ疲れた。飯食おう。

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